これは、私が10年ぐらい前に見た夢です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
6まであります。
これは5です。
下手に太いヒールの靴より、ピンヒールの靴の方が履きやすいのは何故だろうといつも思う。
りょうちゃんの車の中で、
「マスカラが瞼についてる」
と指摘されたのを小指の先で剥がし取りながら、りょうちゃんに聞いてみる。
「さー」
りょうちゃんは差して興味もなさそうな返事を返してから、60分100円のパーキングに車を止めた。エンジンを切ったところで、ふと思い返したように、
「一番履きにくかったのは厚底サンダルだったよ。プラダが出してたやつ」
いつの時代の話だ。
りょうちゃんと住宅地をガツガツと歩いた。パーティはとっくに始まっているのだ。
「ちょっと、なつ、それそんなに揺らさない方がいいんじゃないの? シャンパンでしょ」
りょうちゃんが咎めるように言った。
「大丈夫じゃない? これで乾杯しようなんて言い出す人いないでしょ。」
半ば喧嘩腰なのは、辺りにそびえ立つ住宅地に二人とも腰が退けてのことだ。
「ゴーカなお家だねえ」
「ショーシャて言うんじゃないの?」
「でたよ、なつのむずかしたがりが」
真由美ちゃんと旦那さんのお家はそれでもすぐに見つかった。
声が外に漏れていなくても、なんとなく賑やかな雰囲気というのは外に伝わるものだ。
玄関に出迎えに出てきてくれた真由美ちゃんと旦那さんにお持たせを渡して、私たちは中へ通された。
旦那さんは優しそうな人だった。
私は男性を見る目がないのか、誰も彼も、優しそうに見えてしまう。
私の父も優しい人だった。
そして私の旦那であった人も。
瞳子さんの旦那さんである、昔私の兄であった人も。
何故彼らが一瞬にして豹変してしまうのか、私は口を開けて間抜けにぽかんと見守るほかない。そして間抜けな表情を浮かべたまま、嵐が遠ざかっていくのを待つしかない。
この世は分からないことだらけだ。
真由美ちゃんと旦那さんの新居はご近所のそれに負けないくらい素敵な家だった。
一階のリビングダイニングでは、全くお客さん顔で飲んだくれている軍団と、何故かキッチンを切り盛りしている奥様軍団に分かれていた。
「あー、なつ。涼太くん来てたよ、2階でさっき見た」
飲んだくれてる方のグループから声がかかったと思うと、反対の方から良く通る声が聞こえてきた。
「こんばんは、なつちゃん、久しぶり」
瞳子さんだった。
「こんばんは」
瞳子さんは自前と思われる(もしかしたら手作りかも)エプロンをして、私たちが玄関で履いた、ここのうちのものとはのとは違う、自前と思われる(そして、もしかしなくても手作りかもしれない)リネンのルームシューズを履いていた
「相変わらずですね」
私が言うと、瞳子さんはふふ、と笑って、
「なつちゃんも相変わらずだわ」
と言った。そして切り札のように、
「中二階に貴之さんがいるわ」
と言った。
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