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作り話 「貝殻ひろい」6 

とりとめもなく書いた作り話です。

11まであります。

これは6です。



それでも小一時間もすると、子どもたちは自分たちの場所を探し出したようで、仏間に布団を畳んで積み上げているままになっている山と向こうの壁の間に入り込んで、そこでひそひそと何事かを楽しそうに話しているのだった。
ちびどもはそれこそひとつの巣の中の小雀のように身を寄せ合って、それが当然のようになっているらしかった。
時々きゃらきゃらと高い笑い声が聞こえてくる。
驚いたことに二人の声は話し方の癖までそっくりで、声だけ聞いていると、どちらが久美でどちらがかおりなのか、まったく分からないのだった。

琴子は居間でカステラの箱を片付けてしまうと、まったく彼女らしくもなくぼうっとちゃぶ台の前に呆けたように座り込んでいた。
「こと」
それでも名前を呼ぶと、いつもの調子で、
「何?」
と後ろ向きのまま不機嫌な声が帰ってきた。
「あたしは裏の山に焚き付けを拾いに行ってくるからね。今日来るなんて知らなかったから、細いのが足りやしない」
琴子はそれには返事をしなかった。代わりに、
「久美、かおり」
二人の娘を呼ぶと、兵隊さんのように走ってきたちびたちに、
「おばあちゃんの手伝いに行ってきなさい」
と言いつけた。

孫たちとの焚き付け拾いは案外悪くなかった。
話してみると、孫たちは見た目と違い、はにかみやでおとなしいのが姉の久美、活発ではしっこいのが妹のかおりだというのが分かった。
「このくらいの太さでこのくらいの長さのものを拾うんだよ」
と言うと、一本一本、
「おばあちゃん、これくらい?」
と聞いてくる。二人とも分かっていてわざとそうしているふうなところがあった。
「そうそう、それくらい」
と言うと、きゃらきゃらと声を揃えて笑う。志づはふと、琴子と考子の姉妹の幼い頃を思い出していた。あの二人も、こんなふうに始終くっついていた。あの二人もこんなふうに高い声で笑っていただろうか。あのころは忙しすぎて、自分も若すぎて、そんなことに気付く余裕もなかった。
「葉っぱは燃やさないの?」
テレビで、枯れ葉を集めて芋を焼く、そんなシーンを見たらしい。かおりはそんなことを聞いてきたりした。

焚き付けを抱えて帰ってきても、琴子は相変わらずぼうっと居間に座ったままだった。
台所でちびたちに手を洗わせていると、流しに並んであっちからとこっちからと手を伸ばして石鹸を泡立てていたかおりが、居間の母親の姿をちらと見やり、つとつま先立ちになって、姉の耳元で囁いた。
「皺になる前に、早く洋服を着替えなさい」
久美は一瞬複雑そうな顔をしたが、くつくつと笑うかおりにつられて、同じように声を殺して笑った。

そしてこの姉妹は夜になるとまったく手が付けられないほど恐がりなのだった。
コンクリート造りの薄暗い風呂場を怖がり、得体の知れない五右衛門風呂を怖がり、下の家の牛小屋を怖がった。外のトイレも恐がり、電気をこうこうと点けてやり、扉を開いてやらないと用を足せなかった。扉を開いたら開いたで、虫が入ってこないか、おおかみがやってこないかで怖がるのだった。
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[2007/10/29 22:16] 企画! | TB(0) | CM(0)

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